降りていくブログ 

ここという閉塞から逸脱していくための考察

べてぶくろ性暴力問題 信田さよ子さんの応答と被害当事者からのメッセージ

べてるの家の関連施設、べてぶくろでおこった性暴力は、地域住民との関係性の悪化などを理由に公にすることをべてぶくろによって止められてしまいました。行き場のない状態に追い込まれた被害者に対してべてぶくろからは「当事者研究」をすることがすすめられ、性暴力事件は個人の了解の問題として片付けられようとしていました。

 

べてぶくろでおきた性暴力、そしてその隠蔽の問題が「なかったこと」にされてしまう危惧のもと、被害者の方は5年の長い時間を経て、べてぶくろを告発するnoteを公開しました。べてぶくろは被害者自身の声に対してではなく、その「反響」によってようやく声明を出しました。声明の文章は真摯な反省を装いながら、自身の意図的なこの隠蔽については「知識や経験」が足りなかったためにおこったであるとし、まるで自身の意図が存在しなかったように責任を最大限に小さくしようとしている不誠実なものでした。

 

またべてぶくろが声明を出す前に、「当事者研究」を実践する組織が「当事者研究」を組織内における性暴力事件の隠蔽に悪用したこの問題を受けて、当事者研究ネットワークが当事者研究のリーダーたちの連名で声明を出しました。タイミングからしてその声明も告発の反響に対するものであることは明らかでしたが、その声明はべてぶくろ性暴力隠蔽問題には一切触れず、当事者研究の広がりとともにおこってくる問題を、あくまで一般的な問題として受け止め、当事者研究環境の改善していくことを宣言するものでした。

 

声明は被害者に許可を事前に確認することもなく、被害者の存在をおきざりにして、あくまで世間の視線に対して行ったものと思われます。また声明にはべてぶくろ代表である向谷地宣明氏が連名しており、当事者研究ネットワークは今回の性暴力隠蔽問題において加害当事者である向谷地宣明氏の正当性を事実上承認した姿勢を示すものとなっていました。

 

ネット上ではこの問題にあがっていた声に対して、福祉系ウェブサイトの理事(後にべてるの家とのイベントをひかえていた。)が第三者がこの問題に口を出すことをいさめるツイートを出していました。しかし、組織に対して圧倒的に弱い個人が痛みながら声をあげているときに、そこに第三者が応答しないならば、声はそのまま消されてしまいます。「いいこと」をやっている組織の内部での人権侵害がここのところ頻発していますが、問題を業界にまかせておくのではなく、外部から指摘し、今までできなかった改善を求めていくことが必要であると思われます。

 

被害者の方は、べてるの家とも関わりのある様々な方にこの問題についての言明を求めました。しかし、反応をくれた人は少なかったようです。ネット上では毎日のように社会環境の向上に向けた発言をしている知識人、脚光をあびる研究者が目の前の問題には口をつぐんでしまう。このような現実があるなかカウンセラーの信田さよ子さんが応答の文章を寄せられました。

 

被害者のpirosmanihanacoさんもこの応答を受けた記事をアップされています。

 

pirosmanihanaco.hatenablog.com