降りていくブログ 

ここという閉塞から逸脱していくための考察

2019-01-01から1年間の記事一覧

殻と更新作用

「殻が厚くなる」という言い方は日常語で使われますが、このとき「殻」は、「厚くなっているなあ」と言われているその人本体を指しておらず、言われているその人が身にまとうもののように、その人の行動や態度のあり方を規定するようなもののようにいわれま…

なんでもなくなる

回復とはどういうものか、そしてどうやってその過程にはいればいいのか、ということを考えてきた。 回復を意識すると回復は停滞する。それはなんども言及してきたけれど、そう言いながら、この言葉自体が回復を目指してもいる。回復するために回復を意識する…

『表現の生態系』ティム・インゴルドのインタビュー 名詞の動詞化と宗教の語源

別の用事でお邪魔させてもらっていたお宅で紹介していただいた『表現の生態系』のティム・インゴルドのインタビューをちらっと読みました。 sayusha.com 現物が手元にないので正確ではないですが、記憶に残ったことは、名詞を動詞化すること、宗教が語源的に…

【当事者研究】気持ち悪さ 醜さ

ふと思い出した。 ある人が無自覚に抑圧的な発言をした相手のことを「〜さん、気持ち悪くない?」と言っていた。 きつい言葉だなと思った。自分が無関係には思えない。 僕は中学校の頃に自分に執拗に絡んでくるクラスメートを出会ったなかで一番気持ち悪いと…

11/16 路上で出会う”彼女”の話〜若年女性の居場所と性暴力〜

仁藤夢乃さんの講演を聞きに。 もともと本を読まない人間だけれど、最近ますますお勉強(してないけど)のために本を読む感じのことができなくなっていると感じる。しかし、仁藤さんの話しは身体的に迫ってくる。お勉強感はない。 www.facebook.com 女性が性…

【報告と考察】11/12星の王子さま読書会

星の王子さま読書会、次回は12月10日(火)18:30〜@茶山kpハザです。 今回のチラシはこちら。 www.dropbox.com 月1回のペースで27回目ということで、2年をこえた読書会。 今回あつかった範囲は、王子がへびと話しているところに遭遇したパイロットと王子の…

【感想】熾(おき)をかこむ会  「責任」や「個」の終わり

「責任」や「個」という概念が現実のプロセスとは乖離したものであることがより実感されてくる。それらは今の社会を回すための基礎的な概念であるけれども、社会が複雑化してきて、現実というものは今まで済ませてきたようなこれらの素朴な割り切りでは扱え…

リードインの試み 初回

心に残った他者のことばに自分の言葉を添えるリードイン、とりあえずやってみてどういう感じにできるか考えよう、と上高野(左京区)での初めての試み。 紹介されたことばは、熊谷晋一郎、茨城のり子、小沢健二、緒形正人、澤田徳子『きらめきのサフィール』…

欲望形成と学び

ー (斎藤)自発性に基づいて、まさに欲望が形成されてくれば、あとは欲望につきしたがっていくだけで適切なコースが見えてくる。そのときに治療者は、「こっちに行きなさい」とか指図する必要はないんですよ。リカバリーというのはそういうことです。ー さす…

【11月の催しもの】 DIY読書会・「リードイン」実験会・水曜ゼロ円飯(吉田寮炊き出し)ほか

【11月の催しもの】 →9月より熾(おき)をかこむ会は第二火曜日の14時〜17時になっています。西川勝さんは、お仕事の都合で熾(おき)をかこむ会には来られなくなりましたが、同日18時半からの星の王子さま読書会には来られます。 11月5日(火)…

「適応」ではなく主体化へ

小沢牧子さんは『「心の専門家」はいらない』において、臨床心理学、心理カウンセリングが問題を個人の心のなかのこととして矮小化してしまうこと、閉じ込めてしまうことに無自覚なことに警鐘を鳴らしている。 blog.goo.ne.jp これがどういうことなのかわか…

抑圧の相互解放のために

ある属性のマイノリティが別の属性のマイノリティへの抑圧にはまるで無自覚でしたい放題だったり、自覚していても平気だったりすることがある。またマジョリティに対してであれば、抑圧仕返すような結果になろうが、今までマジョリティがやってきたことを踏…

【催しもの】11月17日(日)大地の再生と自給農法玉ねぎ定植のワークショップ

叡山電鉄京都精華大前から歩いて7分の畑で大地の再生と自給農法のワークショップをやります。 昨年はこの畑を畑として使っていくために、シカとイノシシ除けの柵づくりとイグサとセイタカアワダチソウだらけになっているところに初めて畝を立てて、玉ねぎを…

思考の更新は環境を必要とする

自分や状況を変化させていくにあたっては、世間で言われていることとか、それはそういうふうになっているというような建前はともかく、実態はなんなのかを掴んだ言葉が必要だと思う。 フレイレは、言葉は実践によってより妥当なものに更新され、その言葉によ…

10/16 DIY読書会発表原稿 宇井純『自主講座「公害原論」の15年』

【はじめに】 小松原織香さんが開いている環境と対話の会で扱われていた本。1970年から1986年まで東大で行われた自主講座の講演録。公害を扱う学問がないなかで、自ら学ぶ場を作った活動。野外で行われた講演には1000人がきたこともあった。1970年からこんな…

【感想】修復的司法×水俣×吉田寮〜対話の場を支えるもの〜

永野三智さんと小松原織香さんと吉田寮の人たちの座談会。 www.facebook.com それぞれかなり踏み込んだ自分の体験やプロセスからのお話しだった。それぞれの人、環境、お互いや主催者との間の信頼感がなければこの水準での話しがされることはなかなかないん…

マズローピラミッド

マズローの古典的なピラミッドがいまだにあちこちででてくるのはどうかと思っている。 ずらずら出てくるマズローピラミッド そこでマズローが本当はどう考えていたか、という問いももちろん重要だと思うのだけれど、そこまで押さえないと批判したらいけない…

対話と対話でないもの

読書会で、対話という言葉がブームみたいになっているけれど、相手に自分と話せと強制したり、最初から自分と同じ結論にさせるつもりしかないときまで、対話という言葉が使われている現状についての話しがでる。 世間で流通する言葉は、明後日の方向に向いて…

【10月の催しもの】 吉田寮水曜ゼロ円飯(炊き出し) 熾(おき)をかこむ会 修復的司法×水俣×吉田寮他

【10月の催しもの】 →9月より熾(おき)をかこむ会は第二火曜日の14時〜17時になりました。西川勝さんは、お仕事の都合で熾(おき)をかこむ会には来られなくなりましたが、同日18時半からの星の王子さま読書会には来られます。 →DIY読書会はまた1…

世界の終わりがきても 緒方正人さんの言葉

環境は変えていく。必要なことはやっていく。 それぞれの考えがある。しかし、ゴールが「社会変革」だと思わされるところで、打ち棄てられる存在がある。緒方正人さんの言葉を読みなおす。 急にあと数ヶ月の命になったとき、逆に取り戻されることがある。人…

当事者研究のグラデーション

昨日話していたこと。 当事者研究は今は精神福祉領域周辺のものとして受け取られているけれど、『みんなの当事者研究』でも上野千鶴子さんが言及したように、フェミニズムも「当事者研究」であったと思う。 www.kinokuniya.co.jp 精神福祉周辺の当事者研究界…

安心の国

安心の国では、安心をおびやかすものが嫌われる 安心の国の安心は、みんなのやることには疑問をもたずに従うことで手に入れられる 安心は、自分より強いものがくれるみんなは強いものに従っているだからみんなとは強さだ そして正しさだ 安心の国は、変化が…

約束のネバーランド 鬼も人間も「美味しいもの」を我慢できない フェイルセーフの人間観へ

『約束のネバーランド』 sp.shonenjump.com 被抑圧者(人間)が自分たちの生存と幸福を守るために抑圧者(鬼)を滅ぼそうという流れのところで、抑圧者を完全に滅ぼさないと彼らは自身の生存だけでは満足せず、必ず美味しいもの(人間)を食べようとする、自…

9/29 話しの場研究室 発表原稿 自分にとっての場とは何か?

発表1 自分にとっての場とは何か? 【経緯と位置づけ】心理カウンセリングを学ぶ学科にいた際、人が回復したり、変わっていく場はカウンセリングルームのなかだけではないのではないかと思った。四国遍路の体験、大学院での四国遍路をする人のインタビュー…

世界への信頼の回復 探究と希望

明日19時からは本町エスコーラで私の探究・研究相談室です。 www.facebook.com 世界への信頼の回復とは、世界が自分にとっていい意味で未知であり、応答的な存在であるという実感が出てくることかと思います。 自分にとっての世界像が変わらないのに、自分の…

自分の価値を高めるのか ゆるすのか

畑の共同作業日だったけれど、雨がひどく降ってきて土もべちょべちょに濡れたので、作業は中止して午後から第4回関西当事者研究交流集会へ。 cocopit.net ある分野のマイノリティが、別の分野のマイノリティに対して差別や軽視を持っていないかというと、全…

そろそろ「自己肯定感」を卒業しよう

信田さよ子 on Twitter: "気になったのが自己肯定感という言葉。大阪に続き仙台でも質問された。何度も言うが自己肯定感や自尊心が高い低いって自滅に続く道だ。他者やアートや読書など時には自然界からつまり自分の外部から備給されるものだから。親から愛…

わたしという「止まった時間」とその付き合い方

友達に誘われて操体法的なお話し会に。 具体例を聞いて色々と腑に落ちるところがあった。 意志と感覚は相反する関係。より意志で操作しようとするとき、感覚は消えてゆき、逆に感覚が優勢になるとき自分の意志は消えていく。 意志は、過去、記憶、止まったも…

罪の取り戻し 宇井純『自主講座「公害原論」の15年』

昨日のDIY読書会、「宇井純さんの自主講座「公害原論」の15年」を発表する。 修復的司法の研究をされている小松原織香さんがされている環境と対話研究会の読書会で知った本。 当時は公害に向き合える学問分野などなく、公害に向き合おうと思えば、自分たちで…

ナラティブコミュニティを学ぶ第一回 亀裂と開け

ナラティブコミュニティを学ぶの1回目へ。非モテ研の西井さんとウィークタイの泉さんのお話しを聞きに。 www.facebook.com 場には、当事者、支援者、親、当事者かつ場を持っている人などが来られていた。 本を読むのが苦手で不勉強なので、レジメなど人が簡…