降りていくブログ 

ここという閉塞から逸脱していくための考察

レジリエンス・ダイアローグ 小倉ヒラクさんの話しを聞きにいく

小倉ヒラクさんのお話しを聞きにいく。生物進化の話しで、鳥は飛ぼうとしていたのではなく、当時の大気の酸素濃度が低く、それを補うための肺の構造の変化が、結果的に体を風船のようにしていき、長い滑空が可能になり、やがて飛べるようになった話しなど面白かった。獲得しようとして獲得したのではなく、ある機能の発展が派生して思わぬ機能が得られる。二足歩行になったときに開いた人間の気管が歌うことを可能にしたことなども。

 

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発酵ということで面白いと思うのは、発酵したものが以前の形態の延長上にあるものというよりは、別のものに変容することと、自意識が直接にコントロールしてその変化をもたらすのではなく、自意識は環境を整えるなど間接的に関わり、微生物が変化の主体であるということ。面白い変化は派生的なもの、スピンオフとして生まれる。

 

自意識が何か直接達成しようとすることは、実感は大きいかもしれないが、疲弊的な関わりになる。武道などでは実感がないほうがいい動きをしているともいわれるようだ。自意識はあくまで間接的な整えをし、その結果として自律的なものが事を為す。それが疲弊を避けるあり方であると思う。発酵的ということは、何か思わぬものを派生させるような迂回であるともいえるのだろうか。

 

派生的なものは省エネルギーであるだけでなく、派生的なものこそが面白いものであり、そこで出てきたものは自律的で、展開する。それは場をその作用でみたして、環境を変容させていく。