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降りていくブログ

生き残りながら回復していくために

人が人になるとき

イギリスの党首会談の記事をみる。

SNPの二コラ・スタージョン
SNPの二コラ・スタージョン

http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymik…/20150409-00044664/

  

生きものである人が動くとき、そこには生きものとしての切実さがあると思う。

取り繕いはするかもしれないけれど、切実さがなければ大きなリスクを引き受けたりしない。

 

「公共性」というものがあるなら、それは放っておけば強いものが弱いものの存在を踏み台にして自らをより強くしていく世界への反逆として生まれてきたと思う。人は文化。「人ならば」というのは「共に生きるならば」であって、強いものが好きなだけ世界を蹂躙しているところに「人」などいない。

 

やさしさはちいさな反逆のなかに創造される。そしてそのやさしさはそれを守るものが消えれば、すぐになくなるものだと思う。生きものが自分の力をもって作る縄張りのように。

 

世界にやさしさがあるのなら、それは今身をもって暴力性の蹂躙をはねのけている誰かがそこにいる証明なのだと思う。もはや向き合わざるを得ない切実さ。その自らのマイノリティ性に向き合うときにだけ人はまともになっていると思う。

 

イギリスのスコットランドは、日本の沖縄じゃないかと思う。抑圧された人々が今立ち上がっている、沖縄が今、もっともまともな国であって、あるべき方向性、人が人としてあれる方向性を示しているんじゃないかと思う。

 

党首討論は、「緊縮」「移民」「NHS」「若年層のサポート」という今回の選挙戦での焦点になっている問題がテーマだった。「緊縮」の議論では、キャメロン首相、クレッグ副首相は「現在の英国の緊縮政策は成功しており、財政赤字を削減せねば英国に未来はない」と現在の政策を擁護し、労働党ミリバンドも「緊縮は必要」を大前提にしながら、「富裕層の増税」を主張してカットする層の変更を論じる。が、スタージョンはあくまでも反緊縮を主張した。しかも、「赤字削減が肝要と言いながら、一方で核プログラムのために巨額の国家予算を注ぎ込んでいる。それを止めれば緊縮する必要はない」と、あまりにクラシックな左翼の見解を述べるので、わたしなどは新鮮な驚きを覚えた。現代の英国では、「反核」はデモ隊のプラカードに書かれていることで、政党の指導者が党首討論で主張するようなことではなかった筈なのである。


討論でのスタージョンは、奇をてらったことは一切言わないが、徹底してぶれなかった。そしてそのスタンスと比べて妙に薄っぺらく見えてしまったのが、物議を醸すことで注目を集めて来た右翼政党UKIPのナイジェル・ファラージだ。「とめどもなく流入してくるEUからの『新移民』が英国の諸問題の元凶」というきわめて単純な理念(しかしそれがまたこの数年どれほどポピュラーになってきたことか)を掲げるUKIPは、NHS(英国の無料の医療制度)を今後どうするのかという議論で、外国人がNHSを濫用していると指摘し、「現在、NHSで(つまり、国家負担で)高価なHIVの治療を受けている人々の60%が外国人」と言った。男性党首たちは何も言わなかったが、スタージョンは淡々と、しかし呆れたような口調で言った。
「深刻な病気にかかっている人を前にして、私が最初に思うのは『この人の国籍は何か?』ということではありませんよ」。
せわしなく目をしばたいているファラージがピエロに見えた瞬間である。
「英国が右傾化しているように見えるのは、そこに立っておられる大政党の党首の方々がUKIPを怖がっているからです。しかし考え方にはバランスが重要です。EU移民の殆どは納税者であり、英国経済に貢献している。英国民だって大勢の人々が海外に出て働いているんです。他国にいる彼らが、この国で外国人が受けているような扱いを受けたらどう思いますか」


「あくまでもどこまでも反緊縮」「移民の締め付けではなく下層民の引き上げを」「NHSを再び完全国営化に」「若者に優しい社会は大学授業料無料を再導入せずにはあり得ない」というスタージョンの主張を聞いていると、これは左派流の「NEVER COMPROMISE」。彼女は左翼のサッチャーではないかと思えてきた。討論の締めの各党首ステートメントで、スタージョンはこう言った。
スコットランドの皆さん、今よりも良い、もっと公平で進歩的な社会を望むのなら、SNPに投票してください。そして英国の他の地域のみなさん、私たちがスコットランドから英国をより良い国にするお手伝いをします」