降りていくブログ 

ここという閉塞から逸脱していくための考察

自給の畑を身につける5月の畑 先月の復習 ポット苗の定植

2013年5月11日の実習のシェアです。

4月の実習はこちら。

kurahate22.hatenablog.com

 

<5月の実習概要>
<ゴボウ・ジャガイモ・畝立て>
まず最初は、先月の実習でやったことの確認。

ジャガイモ、出ていたものと出ていないものがありました。
キタアカリなどは、アンデス種に比べ、品種的に芽が出る時期が遅い可能性がありました。出ていないところへの対応は、違う種芋を植える、芽が出ていればもう一回埋めて様子をみる、もう別のものを植えるなどがありました。

ジャガイモは土寄せが重要で、収量が変化する。
一株でできるジャガイモは10個ぐらいで、今回2株でていましたので、とれるのは20個、週に4個食べる人なら1ヶ月分に相当するので、これの12倍、24本で一年分がまかなえる計算です。またジャガイモは春と秋の2回植えられるので、さらに1回あたりに植える本数が少なくても、1年分をまかなうのに十分な量がとれるとのことでした。たしか糸川さんは、車1台分の面積で自給可能と言われていたかと思います。

<土寄せの様子 畝の中央部分の土を作物に寄せている>
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ゴボウについては、買った種でまいたところの発芽が悪く、まき直しをしました。ゴボウの発芽は1週間とのことで、それ以上経っても出てなければまき直しです。買った種のほうが出なかったのは、まく直前に買った種でなかったので、種のほうに問題があったかもしれません。自家採取のほうのものの発芽はよかったです。自家採取のゴボウの品種は「大浦牛蒡」で、太く短いのが特徴です。

 

ゴボウは基本的には自然間引きで、放っといたら勝手に自分たちで生き残るものが生き残るとのことでした。ジャガイモも同じですが、土寄せは、畝の横の草を通路に落とし、通路の土も加えるやり方です。ただつくるだけだと畝はやせていくので、通路やセンター割りした溝に草を日頃からどんどんいれるということでした。

 

ゴボウの種まき、僕がお手伝いして失敗したところがあるのですが、種をまくところをあまり深く掘るとよくないとのことでした。水がたまりすぎてもよくないそうです。

 

耕さない自然農法では、草の死骸がそのまま蓄積し、堆積していかせることによって、栄養分や水分をそこに確保するようですが、糸川さんの方法は、畑をコンポストのように考えるようです。コンポストも設置型はのぞき、かき混ぜて空気をいれて、発酵、分解を促進させるので。

 

草や生ゴミを発酵・分解する菌は、好気性と嫌気性にわかれます。好気性の菌は酸素を使って分解するもの。嫌気性は酸素を使わずに分解します。糸川さんが常に利用しようとされているのは、この好気性の菌のほうです。好気性の菌は分解速度がはやく、嫌気性の菌の20倍とも言われています。

この好気性の菌を利用するために、草や生ゴミを土に密着させたり、空気にあまり触れてなさそうであれば、耕したりして空気に触れる状態にする。一旦草なり生ゴミが土中に入れば、空気があたらなくなるので、通路は備中で除草などもかねて耕す。空気がよくあたるようにすればするだけ、土が肥えていく。

 

生ゴミも使いますが、基本的には、そこに生えている雑草を堆肥とするために、土壌に対しての過剰な堆肥投入を防ぎ、そのために寄ってくる虫が多くならない、土壌や水系も汚染しないということにもつながっているようです。

 

畝立てについては、センター割りの深さについて指摘がありました。センターはしっかりと深いほうがいいということでした。センター割りのところに、刈った草などはどんどん入れていきます。そのためすぐ高くなるし、また作物の根がセンターまで伸びて、肥料分を吸収するので、あまり高いと問題で深い必要があるのかと思います。

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センター割りの溝にいれた草には、土をかけて発酵をうながします。センターは足で踏んでも大丈夫なので、草が浮かび上がっているような時は積極的に踏んだほうがいいかもしれません。

 

畝を立てるのは、保水のバランスをコントロールする意味が大きく、畝のサイドの雑草の育ちがいいのは、保水のバランスがいいためと言われていたように思います。


<畝立ては畝を三角に盛り、次に高い部分を備中で崩していく。三角にしているところ>
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今回は、ミニトマト、中玉トマト、ナスのポット苗の定植を行いました。
原種のトマトは本来小さいもので、売られている大きなトマトは品種改良したもので、育てやすさの面からいうと難しいため、小さいものにしました。もちろん、大きなものが必要な方はまた各自で挑戦してもらっても構いません。

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雨の時は、基本的には作業はしないほうがいいとされています。
種まきを始めとしたありとあらゆる作業が困難になり、耕した土もかちかちに固まってしまったりするためです。今回の場合、実習を開始してしばらくの間はむしろ土はいい感じに柔らかく、種まき、苗の移植には適した状態でした。ですが、体験していただきたように雨が降り続いてくると土がどろどろになってしまい、よくない状態になります。ただそれでも苗の移植に関しては水が沢山必要なので、それぐらいの状態でもかえって水がいらなくていいというような利点もあるようです。

 

ポット苗は、自分で買うときは、茎が太いもの、葉がしわくちゃになっていないもの、あまり大きく育ちすぎてないもの、上をむいているものを選びます。横からみていい感じのものも、更に上から見てどこかいびつだったりしないかなどを確かめます。

 

ポット苗は、根が小さなポットの中にで行き場を失い、ぐるぐると固まっています。
畑に移植する際には、それをほぐし、根が伸びていけるようにするため、移植する場所を鍬や手で掘ったあと、水を穴に流し入れ、溜まっている状態で苗をふるわせ、ほぐします。今回は雨だったので、水はすぐたまりますが、晴れで土がからからの場合などは、1回穴に水をいれて、水がひいたらまた水をいれて、と何度か水がたまるまでそれを繰り返します。

 

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水をいれるのは別の理由もあって、苗が店では上から水を得ていたわけですが、水は下にあると認識させるためというのもあります。乾燥にたいして備えるという理由に加えて、水をたっぷりと下にしみ込ませることによって、根が下に伸び、根の生長によって作物全体が強く生長するのをうながします。

 

根がほぐれたら、苗の向いている方向を南にあわせます。作物は太陽の方向を向く性質があるのですが、違う方向を向いているとまず太陽の方向をむくというひと手順を踏んでから生長をはじめるようで、生長が一拍遅れるそうです。

 

苗を南向きにしたら、周りの土をよせてきて、しっかりと強く上からおさえ、土と根を密着させます。買ってきた苗は自立が難しいので、支柱をしますが、本格的な支柱をたてる前に仮ざさえとして、短い支柱をさし、支柱に麻ひもなどで苗を結びます。この時あまりきつくせず、少し余裕があるぐらいに結びます。

 

支柱が完了したら、苗の周りにそこら辺の雑草を引き抜いてきて、根が土をつかんでいるまま、苗のまわりに敷きつめます。これは、根がつかんでいるいい土を苗にやることと、乾燥を防ぐこと、草がやがて堆肥化することなどの意味があります。

 

草はかなり沢山敷き詰めたほうがいいとのことでした。実習でもかけましたが、「この2倍あってもいい」と糸川さんは言われていたと思います。

 

水を予め穴にたっぷりとやり、草を苗の周りに敷き詰める糸川さんのやり方では、どの作物も比較的かなり少ない水で育てられます。

 

とはいいものの、夏場で日照りが続く場合などは水をやる必要があります。作物の葉っぱの状態などをみて、必要なら水をあげます。あげるときはたっぷりやります。乾くときは乾き、与える時はたっぷりやるというのがよく、やりすぎて常にじめじめはよくないようです。またこれからの夏場は日中の暑いさなかに水をやると、お湯のようになり、作物によくないので、朝方や夕方などが水やりに適しています。また同じように種まき、苗の定植も日ががんがん照っているときではなく、やや光の強さがおさまったときが好ましいです。

 

作物的な違いでは、ナスは水が必要なので、しばらく日照りが続くと弱った感じになりますが、トマトは水をあまりやりすぎるのはよくありません。

 

糸川さんのやり方では、水は種まき、苗の定植の時以外は、基本的にやらなくてもほとんど大丈夫とされていますが、それでも週に1回は雨がしっかりふるのを前提としているようですので、作物の様子をみて、必要ならば水やりを適宜やっていきます。

 

<自生えについて>
今回、カボチャ、トマト、植えた覚えのないジャガイモなどが勝手に生えていました。これら自生えの作物は、前年度の作物の種や持ってきた生ゴミなどから出てきたものです。自生えものは強いので、積極的に利用する価値があります。ただやたらと沢山出てきていたりすると、全部を生かそうとすると振り回されてしまう場合もあるので、畑でつくるものの自分の指針を決めた上で取捨選択する必要もありそうです。

畑を複数年やっていくと、牛蒡、トマト、ゴーヤ、カボチャ、ニンジン、モロヘイヤ、シソ、ミツバ、セロリなど結構色々な作物が自生えして勝手に出てきます。自分でニンジンの種をまくより、自生えのもののほうが育ちがよかったりします。自分が計画し管理する軸がありながら、同時に自分の想像をこえた自然のありようにゆだねていくことも多くなるようです。

 

6月は糸川さんが使う用語や基準についても補足します。

 

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