降りていくブログ 

ここという閉塞から逸脱していくための考察

応答する他者

持てるようなものを何もかも奪われた人でも、救われることはあるのか。

どのような報われないみじめな生であっても、それを受けとめるまなざしはあるのか。

 

そういうことを探してきたと思う。

 

放り出された場所で、どうしていいのかわからなかった。

ここにいることを見つけてくれる人がいるのか知らなかった。

闇のなかで、隣に差し出されているはずの手は無くて、寄るべなく、心細かった。

一歩先がそのまま奈落になっているような恐怖ですくみあがり、身動きできなかった。

 

この自分が救いを探していたと思っていた。

だがそうではないようだった。

 

救いを探すものは、ここから動けなくなった僕に対する応答だったのだ。

応答は、その僕を救おうとする他者だった。

僕に受け取られないまま、延々とその他者は応答していた。

誰も自分を見つけてくれない残酷さをうらんでいたけれど、僕もまた同じ残酷さでその他者の絶え間ない応答を一つも見てはいなかった。