降りていくブログ 

ここという閉塞から逸脱していくための考察

インプロ集中ワークショップ4日目

インプロ集中ワークショップ4日目。

 
1日目は書いてなかったので、1日目のも含める。今井純さんは、友人の平野くんが紹介してくれた『自由になるのは大変なのだ』の著者でインプロの指導者。僕はこの本を読んで、今までに知っていたカウンセリングとか、グループワークとは違う焦点の当て方のアプローチが確立されていることに驚いた。
 
 
なぜ架空の演劇の場面でさえ、大きな展開を恐れ逃げてしまうのか。無自覚に何も起こさないチョイスをしてしまうのか。インプロで短いシーンをつくるとき、その無自覚の習慣、防衛反応が現れる。そしてそれは舞台を退屈にしてしまう。
 
 
観客にとって興味深いことがおこっているのかいないのかは、習慣化した防衛反応が支配的に出ているかどうかとほぼダイレクトに関わっている。興味深い場面、観客が共感したり、面白がったりしていることが防衛反応に支配されているのか、そうでないかの指標になる。
 
 
自動化した防衛反応は、主体を苦しめている。その反応が必要ない場面でも行動を限定し、支配してしまうからだ。エネルギーは過剰につかわれ、疲れてしまう。防衛反応のなかにいる人は自動化した防衛反応は手放したいのだ。
 
 
遊び、楽しみ、面白がるということで、防衛反応を手放していける。これが純さんのインプロの大きな特長だろう。不自然なこと、自分とつながらずにやる技法などはインプロの技法として存在していても、純さんは採用していないそうだ。
 
 
自分とつながること、場とつながること、相手とつながること、それらがつながっていれば、思考で考え出さずともクリエイティブなものが生まれてくる。思考でやると既知の範囲のものしかでてこない。
 
 
自分や場、相手とつながってチャレンジしているなら、シーンで失敗しても観客は共感し、湧く。失敗がむしろ面白い。演者は上手くやることを求めるが、観客は別に演者に上手さを求めておらず、自分のかわりに舞台でチャレンジし、失敗を平気で楽しむ演者に共感し、失敗してもいい自由を受けとることのほうを求めている。
 
 
失敗に平気なっていくにつれ、よりクリエイティブになっていく。いい演じ手はどんな状況でも平気であるようになっているからいいパフォーマンスができるのだという。
 
 
セラピーや問題解決を直接的な目標とし、目指すと行き詰まる。そのことは僕も今まで確かめてきて実感をもっている。純粋にその場限りのものとして楽しめるものを設定する。人の回復や変化はそのスピンオフとしておこる。このあり方は最も健康的で、歪まず、持続可能的で、副作用が少なく、効果も生まれやすいと思う。