たき火がもたらす明かりが、人の文化形成に影響を与え、物語の発生の基盤にもなっていたというお話し。
調理に使われたというだけではなく、夜の時間に変化を与えたたき火の明かりは、人の想像力をかきたてる効果もあったと。
火の影響はこうした食生活の変化だけにとどまらず、炎の明かりのもとで行われるコミュニケーションが人類の祖先の文化形成にも影響を与えていたことが、狩猟民族研究によって明らかになりました。
ナミビア・ボツワナのジュホアン族に関する研究によると、夜のたき火の明かりには人々の想像力をかきたてる効果があり、また、たき火があることで夜の活動時間が延び、自給自足の生活を営むための時間以外の社会的な営む時間が確保されるため、物語を話しやすくなることがわかりました。
聞いたお話しで、ネイティブアメリカンが火という言葉には、幸せという意味があって、本当に火を焚くから火をおこすと普通に言ったとしても、同時に幸せをおこすというもう一つの意味あいが重ねられているとか。「火を囲もう」と言ったならば同時に「幸せを囲もう」とも言ってるのかなとか、色々バリエーションを想像した。
美術家の小山田徹(こやまだとおる)さんは、宮城県の女川で迎え火のプロジェクトという取り組みをされている。震災直後、たき火は生き延びるための重要な手段だった。しかし、仮設住宅が整備され人々が個別住宅に入っていくと、途端に人々の意思疎通が途絶えたという。そこでこのプロジェクトが考えだされた。
避難所生活の時は、グランドとかで毎日たき火をしながら、そこが誰がいうともなく様々な会話をしたり決め事をする場所として機能してスムーズに様々な事が決まってたんだけどね。やっぱり途切れてしまうと難しい。「たき火いいよな」って形でたき火をなんとか復活出来ないかという事で、をやってみようとなったんです。
たき火は何もしなくても人に居場所をあたえる。
小山田徹さん:たき火ってなんかこう隣り合った人が気軽に参加出来るじゃないですか
アサダワタルさん:自己紹介なんかしないで、普通の日常の会話からいきなり入れる感じがありますよね。
小:「寒いねー」なんていいながら(笑)
ア:相手が誰かなんてあんまり関係ないですよね(笑)
小:火の前には居やすいし黙っててもいやすいししゃべっても大丈夫だし。
ア:なんかお互いが居たいようにそこに居れる感じの場が出来上がりますよね。
大きなたき火に大人数が集まるのではなく、小さなたき火をたくさんつくり、それぞれの場所で人が集まる。
特に今回の迎え火は小さい火をたくさん使うという手法をとったんですよ。大きい火じゃなくて小さい火をたくさん。それが実は凄く有効で多様なたき火の仕方が存在するし多様な人たちの集まりが実現出来る。しかも多様性もはしごできるんですよね。
かたちあるもの、作られたものに火がついて燃焼して灰に帰すというプロセス。そこから物語が生まれるのは、火を囲む人々は、短い時間に凝縮された人の一生をそこに見るからじゃないかなと思っている。
優しくなるのは、何をつくっても、何を残そうとしても灰に帰するというある種の無意味さをみるからだと思う。そこに生の震えが浮かび上がる。そこでは成功した人も強い人も儚くて平等だというメッセージを受け取っているのではないかなと思う。
たき火に「人類」なんていう大げさな言葉はそぐわない。そこは折角ちいさなひとりひとりに戻ることが許された場所なのだから。
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