降りていくブログ 

ここという閉塞から逸脱していくための考察

ユマニチュード

フランスからやってきた認知症ケアの技法ユマニチュード。

そこで使われる一つ一つの技術は、熟練者にとっては当たり前のものであるが、それを体系化したことによって革命的なものになった。この手法の導入によって、ケアを困難にする二次障害の大部分が消えるという。

 ユマニチュードは、イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの2人によってつくり出された、知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションにもとづいたケアの技法です。

 この技法は「人とは何か」「ケアをする人とは何か」を問う哲学と、それにもとづく150を超える実践技術から成り立っています。認知症の方や高齢者のみならず、ケアを必要とするすべての人に使える、たいへん汎用性の高いものです。     『ユマニチュード入門』 

認知症の状態においては、記憶の一貫性をもった自分が成り立たなくなる。そこでも人間の尊厳が保たれるというのは、どういうことなのか。認知症になった自分自身を想像してみたとき、自分でも受け入れることができなかった。記憶の一貫性がなくても、それでも人や自分を受け入れられる人間観とは何だろうか。

 

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http://www.pakutaso.com

 

老人と関わる演劇経験者の言葉にヒントがあった。認知症の高齢者から投げかけられる彼らの現実が、自分たちとの現実が違うときにそれを否定せず、一旦彼らの提示する現実を受け止める。こちらの現実で、彼らを叱ったり、訂正したりせず、受け止める。その後にお互いの現実におさまりがつく流れをつくっていく。

 

岡山県和気町で老いと演劇のワークショップを主宰する菅原直樹さんは、老人と演劇の相性はいいという。菅原さんも自分が認知症になることは、受け入れがたいこととして感じていたという。しかし、高齢者を否定するのではなく、その一瞬を互いにつくり、共に生きることができることを感じたとき、自分自身が認知症になってしまっても大丈夫かもしれないと思えるようになったという。

 

人がその能力の一つ一つを失っていくとき、より本来の、原型のものとしての人になっていくのだろうと思う。生きものとして人が生きるということは、継続的な長い時間を前提としたものよりは、多分一瞬一瞬の時間の質のほうが重要なのではないかと思う。

 

より本来の生きもののありように戻っていく人に対して、どのように尊厳を提供し、関わることができるのか。ジネストさんたちは探究してきた。

 

ニュースの特集番組でユマニチュードが紹介されているものがあった。医学書院から発売されているユマニチュードを紹介するDVDでは、技法の全体像を紹介することに重きをおいていると思われるが、こちらの特集映像は、関わりが困難な方に対し、ユマニチュードをもちいることでどのように変化があるのかというところで、実際の事例の推移に多くの時間を割いている。

 

ユマニチュード導入前のケアを分析し、そしてユマニチュードにのっとったケアでどう変わったか。患者の心が開かれる。

 

イブ・ジネストさん

「人は他の人から人間として認識されないと生きていけません」

認知症の人の場合、相手が優しい人かどうかを知性で判断することが難しくなっています。しかし感情の機能は最後をむかえるその日まではたらいています。ですからユマニチュードではやさしさをその感情にうったえるのです。」

認知症の人は相手から見られないと”自分は存在しない”と感じ、自分の殻のなかに閉じこもってしまいます。私たちが最初にすべきことはあらゆる手段を使って彼らが人間であるということを感じさせることなのです。」

 


ユマニチュード 認知症ケア 優しさを伝える技術 [1/2] - YouTube

 

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本田美和子 イヴ・ジネスト ロゼット・マレスコッティ著

『ユマニチュード入門』

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